構造エネルギー工学
研究群紹介

ハカセになろう Messages from PhD and PhD candidates Vol.5 柾木 直人さん(構造エネルギー工学学位プログラム)
システム情報工学研究群(通称:シス情)では、在学生や社会で活躍するOB・OGの皆さんにインタビューを行っています。
今回は、2025年度 博士後期課程進学説明会~ハカセになろう~ と連動し、博士後期課程の現役学生・修了生に進学の経緯やご自身の研究、今後の展望などについてお話を伺います。
シリーズ5回目は、構造エネルギー工学学位プログラム 熱流体制御・計測研究室で、金子暁子教授ご指導のもと、原子力事故時に液体化した燃料の微粒化メカニズムを、三次元解析で解明する研究に取り組む柾木 直人(まさき なおと)さんにご登場いただきました。
まずは、博士後期課程への進学を決めた理由を教えてください。
純粋に実験が楽しいという理由で進学を決めました。学部4年で流体可視化計測に触れ、流体という目には見えないものがここまで綺麗に見ることができるという技術をより学びたいという気持ちで博士課程に進みました。
博士後期課程への進学を視野に入れた時期はいつでしたか?また、進学に向けてどのような準備をされたか、教えてください。
私はM1の終わりごろに決めました。
進学に向けた準備ですが、私は学部と修士時代は別の大学の研究室に在籍していたのですが、研究室をたたむという事になり後期課程から筑波大学にきた身です。M1の頃から類似の研究、主に可視化技術を使った流体研究を行っている研究室を見学し、最終的に金子研究室に決めました。入試の準備等は面接のみだったので、修士論文をまとめるというのが最大の準備だったと思います。
現在の研究テーマの概要を教えていただけますか?
私の研究は、原子力事故時に液体状になった燃料棒がどのように遷移していくか、その過程を解明することを目的としています。
原子力事故の際、燃料棒は高温化して液体ジェットとなり、下部の冷却プールに落下します。そこで微粒化することで冷却され、再固化することが確認されています。
しかし、どのような力が作用して微粒化が生じるのかについては、これまで詳細なデータが不足しており、そのデータを取得することを目的としています。
私の実験では、高速で走査できるレーザーシステムを用いて液体ジェットの三次元解析を行い、ジェットの動きを追跡して界面に働く力を算出しています。
下の図は構築した3Dモデルであり、このモデルから作用する力の算出を行っています。

このテーマに関心を持つきっかけとなった出来事や経験があれば、教えてください。
この研究の中で三次元解析に取り組むという点は、非常に興味深いと感じました。
流体可視化の実験では、「三次元性はどうなっているのか?」という疑問が常につきまといます。
というのも、可視化技術的に二次元を超えるデータを取得するのは非常に難しい側面があるからです。
私は修士課程の頃から、二次元データをもとに三次元現象を説明するという研究を行っており、その経験からこのテーマをとても面白く感じています。
次に筑波大での学生生活についてお伺いします。普段、一週間をどのように過ごされていますか?
基本的には10時~20時の間で研究しています。ただし、実験がうまくいかない場合は時間が再現なく伸びてしまうことがあり、日をまたぐこともあります。そのため、実験日周辺は10時~20時の時間帯にこだわらず柔軟に対応しています。
また、火曜の午前中は研究室のゼミがあり、必ず参加するようにしています。
現在、奨学金など、何らかの経済的な支援を利用されていますか?
リサーチ・アシスタントとして雇用されています。
学位取得後について、現時点で目標としていることがあればお聞かせください。
私は研究職として、流体に携わる研究を行っていこうと考えています。
最後に、博士後期課程への進学を考えている、もしくは今迷っている方々にメッセージをお願いします。
博士課程という選択肢があり、そこで迷える環境にいる時点で、すでに適性はあるのだと思います。
「面白そうだから進む」「やってみたいから進む」といった一見幼稚に思える動機でも、まったく問題ないと思います。
難しい言葉で取り繕っても、後悔の理由は意外とシンプルなものなので、後悔しないためには自分に正直に考えるのがいちばんだと思います。


