知能機能システム
研究群紹介
Messages from PhD and PhD candidates 2023 Vol.4 蛭子 綾花 氏(知能機能システム学位プログラム)
今回は、「Messages from PhD and PhD candidates 2023」と題し、博士後期課程の現役学生・修了生に進学の経緯やご自身の研究、今後の展望などについてお話を伺います。
シリーズ4回目は、知能機能システム学位プログラム 計算撮像研究室で、髙谷剛志助教ご指導のもと、コンピュテーショナルフォトグラフィ(CP)分野の研究に取り組む、蛭子 綾花(えびす あやか)さんにご登場いただきました。
まずは、博士後期課程への進学を決めた理由を教えてください。
博士前期課程で研究分野が変わったことや,当時やってみたいと考えていた(現在行っている)研究テーマが研究分野の専門知識以外の知識・経験を要するものだったこともあり,博士前期課程では時間が足りない,まだまだ研究を続けたい,経験を積みたいと思ったので進学を決めました.
博士後期課程への進学を視野に入れた時期はいつでしたか?また、進学に向けてどのような準備をされたか、教えてください。
学類生時代から博士後期課程への興味はありましたが,博士前期課程に入ってから後期課程への進学を決めました.博士前期課程のときに,共通科目の「博士のキャリアパス」という講義を受講したり,学振特別研究員(DC1)の申請をしたりしていました.
現在の研究テーマの概要を教えていただけますか?
コンピュテーショナルフォトグラフィ(CP)分野の研究を行っています.CPとは,計算機での後処理を前提として照明や光学系を工夫した撮像のことで,これまでに計測することができなかったものを撮ることができるようになります.簡単に言えば特殊なカメラを作る研究分野になります.これまでのCP分野では既製品の光学部品を用いてシステムを作ることが多かったのですが,私の研究では目的に特化した光学素子を微細加工装置で自作するところから行っています.具体的には,時間的に偏光角を変えることが可能な素子を作っていて,この素子によって一般的な明るさを計測するカメラを距離計測可能なカメラにすることが可能になります.
このテーマに関心を持つきっかけとなった出来事や経験があれば、教えてください。
学類生時代にアルバイトでCP分野の研究に関わるようになったことと,個人のプロジェクトで微細加工装置を使った経験から,CPと微細加工の掛け合わせでなにか新しいことができるのではないか,自分の特色になるのではないかと思うようになりました.
次に筑波大での学生生活についてお伺いします。普段、一週間をどのように過ごされていますか?
研究室では毎週勉強会(論文紹介)と進捗報告ミーティングがあり,それ以外の時間で論文を読んだり,実験したりといった研究活動を行っています.また,私の研究分野では様々な計測機器や光学部品を扱うため,たまに展示会やシンポジウムに行って勉強しています.土日は作業することもありますが,友人と会ったり,運動したりしてリフレッシュすることが多いです.
後期課程ではほとんど講義はないのですが,D1のときは趣味も兼ねて大学院共通科目の油絵の授業を受講していました.分野や学年の違う人と関われる良い機会になりました.
現在、奨学金など、何らかの経済的な支援を利用されていますか?
学振特別研究員制度
学位取得後について、現時点で目標としていることがあればお聞かせください。
進路に関してはアカデミアに残るか企業に行くのかずっと悩んでいましたが,最近では大学以外の場所での研究開発を知りたいということで,民間企業へ就職したいという考えが強くなってきました.また,他の選択肢はないかと,研究開発職以外にも博士後期課程での経験を活かせるような職種(ex. 知財関連やコンサルタント)にも興味を持つようになりました.
最後に、博士後期課程への進学を考えている、もしくは今迷っている方々にメッセージをお願いします。
私は博士後期への進学を全く考えられないという状況だったら,進学か就職かで迷うこともなく就職していたと思います.みなさんもきっとそうなのではないでしょうか.考えようによれば,進学が進路選択の候補に入ること自体が幸運なことであり,チャンスなのだと捉えることもできます.とはいえ,金銭面などの現実的な問題もあるので,自分にとって何が大切かを考えながら,具体的な方法については先生や先輩,大学等に相談するといいと思います.