構造エネルギー工学
研究群紹介

Messages from PhD and PhD candidates 2022 Vol.5 齋藤 慎平 氏(産業技術総合研究所 構造エネルギー工学専攻修了)
今回は、「Messages from PhD and PhD candidates 2022」と題し、博士後期課程の現役学生・修了生に進学の経緯やご自身の研究、今後の展望などについてお話を伺います。
シリーズ5回目は、2019年3月に構造エネルギー工学専攻を修了して学位を取得され、現在は産業技術総合研究所でご活躍されている齋藤 慎平(さいとう しんぺい)さんにご登場いただきました。
博士後期課程への進学を視野に入れた時期は、いつ頃だったのでしょうか?
私は高専から筑波大へと3年次編入しましたが,その時点で博士進学を考えていました(研究するために大学に入った)。漠然と,研究者になりたいと思っていたので,きっと博士号があった方がいいんだろうなと(憧れ?)思っていました。
博士後期課程時代の研究テーマについて、教えていただけますか?
原子炉における炉心溶融現象の解明に関する研究に取り組みました。実際の現象はあまりにも複雑なので,実験室レベルで模擬して観察したり,コンピュータシミュレーションを駆使して現象解明に取り組みました。
博士後期課程時代に楽しかった出来事、印象的だった出来事などがあれば、お聞かせください。
4年生の頃は先輩から引き継いだ実験をしていて(高速度カメラを使った可視化実験でした),綺麗な流体の画像を撮れるのが楽しいなと思っていました。実験も悪くなかったのですが,修士くらいの頃にもっと面白いもの(数値シミュレーション)に出会って,すっかり虜になってしまいました。向いていたのだと思います。
また,ちょっと違った視点ですが,同じ研究室の仲間たち(先輩も同期も後輩も)と切磋琢磨して,研究に取り組めたことは一生の財産だと思っています。
学位を取得された後、どのような経緯で現職の道に進まれたのでしょうか。また、現在の業務内容について、教えてください。
博士課程修了後は素材メーカーであるAGC(株)に就職し,ガラスの溶解に関する研究開発を行いました(炉心溶融も溶融ガラスも似たようなものかと思いました)。本当にいい会社でした。。。その後,つくばの産総研に移りました。現在は,熱の有効利用に関係する研究に携わっています。
博士後期課程でのどのような経験が、現在の仕事に活かされていると感じていますか?
世にある結果(論文など)をよく調べて,自分の仕事の立ち位置,オリジナリティを追求し,この世界にまだない形でまとめるという経験は,現在の研究者としての仕事にバッチリ活きていると思います。
現在の研究テーマについて、教えていただけますか?
廃熱の有効利用や,熱の能動制御に向けた研究に取り組んでいます。最近は実験が多めです。

図1:foams
研究関心の原点についてお伺いしたいのですが、これまで取り組まれてきた研究テーマに関心を持つきっかけは何だったのでしょうか?
高専に在籍していたころに(当時は建築学科)数値流体力学(CFD)という「スゲー難しい分野があるらしい」と知って,なんとなくCFDには関心がありました。筑波大学の編入試験でそんな話をしたところ,面接担当の先生に阿部・金子研究室(私の出身研究室)を勧められ,「じゃあそこに入ろう」と決めました。細かい研究テーマは実はそこまで深く考えていませんでした。指導教員が素晴らしい先生で,それにつられて今の研究テーマに携わるようになりました。
ご自身の博士後期課程でのご経験やこれまでのキャリアを振り返り、今、博士後期課程への進学を考えている後輩の皆さんにメッセージをいただけますか?
在学中は,「まだ社会に出ていない」という後ろめたさや,「就職できるかな?」といった不安を日々抱いていました。思い返してみれば,研究に打ち込むこと(ができる力)は誇るべきことですし,(知る限り少なくとも工学系は)就職活動でも引く手は多く,杞憂だったなと思っています。進学しようか迷っている時点で研究者の素質アリですので,一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。