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Messages from PhD and PhD candidates 2021 Vol.6 秦 涼太 氏(社会工学学位プログラム)

システム情報工学研究群(通称:シス情)では、在学生や社会で活躍するOB・OGの皆さんへのインタビューを行っています。
今回は、「Messages from PhD and PhD candidates 2021」と題し、博士後期課程の現役学生・修了生に進学の経緯やご自身の研究、今後の展望などについてお話を伺います。
シリーズ6回目は、社会工学学位プログラム SEAM(Service Engineering, Accounting and Marketing) Lab.で、岡田幸彦准教授ご指導のもと、インフラ構造物(橋梁・路面等)の安全性向上のための事前スクリーニング技術の研究に取り組む、秦涼太(しん りょうた)さんにご登場いただきました。

 

まずは、秦さんが博士後期課程への進学を決めた理由を教えてください。

 研究テーマを深めていく中で,様々な知識を身に着けていくのが楽しかったですし,これからもこの生活を続けたい気持ちが強かったです.社会人ドクターを目指すことも考えましたが,指導教員である岡田幸彦先生や合同ゼミを行っている山本亨輔先生と,善甫啓一先生からの直接指導を受ける機会に恵まれたほうが,長期的に見て,自身の成長に繋がると考えました.今後,研究者を目指すにあたって,自身が研究室を持つことを考えると,後輩の指導ができることも,必要な能力だと考え,それを養成する良いタイミングと判断しました.

 

博士後期課程への進学を視野に入れた時期はいつでしたか?また、進学に向けてどのような準備をされたか、教えてください。

 博士前期(修士)課程1年次の夏頃です.このときはかなり漠然としていて,どちらかというと就職の方に気持ちが寄っていたと思います.最終的に博士後期(博士)課程への進学を決めたのは,博士前期(修士)課程2年次の5月です.内部進学制度を利用する予定だったため,急いで学振特別研究員-DC1の申請書類を作成しました.筑波大学では,URA(リサーチ・アドミニストレーター)の学内説明会や学振申請書改善支援サービスを受けることができます.また,博士課程進学説明会で高野祐一先生が話される学振特別研究員対策講座は必見です.僕はこういった手厚いサポートを受けられませんでしたが,先生方からのコメントを貰える良い機会なので,初稿は3月頃にはできていると良いのかなと思います.僕のように準備不足で失敗しないように,反面教師としてもらえればと思います.

 

秦さんの現在の研究テーマの概要を教えていただけますか?

 車が橋の上を走行する際には,橋が車の重さにより揺らされます.また,車も橋の振動と路面凹凸によって揺らされ,揺らされた車が再び,橋を揺らすという相互作用が発生しています.これを車両-橋梁相互作用と呼びます.これを利用して,加速度センサを車に設置し,橋の上を走行したデータから,車や橋の情報,路面凹凸を推定することができます(図1).この技術を応用すると,道路の舗装状態や橋の損傷状態を推定することが可能です.現在行われている橋の詳細点検は,ベテラン技術者に支えられています.しかし,作業員と予算の減少により,維持管理は今後より難しくなりますが,橋が一斉に老朽化する問題は深刻です.このような問題に対して,危険度の高いインフラ構造物を特定し,優先的に詳細点検を実施することで,限られたコストで高い効果が期待できます.この事前スクリーニングを実現する技術として,私が取り組んでいるテーマは注目されています.また,営業運転中の物流・旅客車両に加速度センサを設置し,通過した橋の状態推定を行うといった,橋の維持管理事業における地方自治体のリソース不足を補い,橋の一斉老朽化問題の解決を目指す共創的サービスを生み出すきっかけにもなります.


図1:車両を用いた間接的道路橋・路面モニタリング
 

このテーマに関心を持つきっかけとなった出来事や経験があれば、教えてください。

 始めは,岡田先生に勧められて始めました.親しい先輩や山本先生からの指導を受けるうちに,いつの間にか熱中していました.家族にトラックドライバーが多く,気になるテーマであったことに加えて,たくさんのことを勉強したいという僕の欲求に良くマッチしていたと思います.

 

次に筑波大での学生生活についてお伺いします。普段、一週間をどのように過ごされていますか?

 平日はゼミとRA勤務をベースとして,空いた時間は研究しています.休日は,学群の時に所属していたサークル活動への参加や,友人と麻雀やリアル脱出ゲーム,ボードゲームをしています.特に用事も無ければ,研究室にいます.必ずしも研究や勉強をする訳ではなく,後輩から進められたドラマやアニメを見たり,ミステリー小説を読んでいます.家より長くいるせいか,研究室の居心地は良いです.

 

現在、奨学金など、何らかの経済的な支援を利用されていますか?

 第一種奨学金と,授業料免除,RA任用,公益財団法人中川育英会からの給与奨学金を頂いています.来年度からは,学振特別研究員制度より研究奨励金を頂けることになりました.充実した支援のおかげで,経済的な心配をすることなく研究に打ち込めています.

 

学位取得後について、現時点で目標としていることがあればお聞かせください。

 選択肢を広く持ちたいと考えています.今後,学会参加やジョブ型研究インターンシップなどを通して,アカデミックポストを目指すのかを考えていこうと思います.まずは,一人前の研究者になれるように,研究論文の執筆や後輩の指導,研究費の獲得への貢献を目標に,研究に没頭していきたいと思います.

 

最後に、博士後期課程への進学を考えている、もしくは今迷っている方々にメッセージをお願いします。

 自分一人で考えるのではなく,とにかくたくさん調べ,お世話になっている先生や友人に話すのが良いと思います.自分の意思をサポートしない記事や助言もあると思いますが,行動してはじめて気がつくこともあります.資金面の不安も大きいと思いますが,次世代研究者挑戦的研究プログラムなど様々な支援が行われることになりました.ジョブ型研究インターンシップなど就活に関するサポートも充実しているので,興味があれば是非前向きに考えてください.

 

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