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シス情在学生インタビュー企画 Vol.4: 讃井 知さん(社会工学学位プログラム)

システム情報工学研究群(通称:シス情)では、在学生に大学院での研究のこと、授業のこと、そして筑波大での生活についてリアルな声を聞くインタビュー企画を行っています。
第4回目の今回は、社会工学学位プログラム博士後期課程で、心理学の知識を応用しながら、人の「“助け合い”を促進する情報発信方法」の研究に取り組む讃井さんにお話を伺いました。

 

まずは、社会工学学位プログラムを進学先として選んだ理由を教えてください。

博士課程に進学する際は,自分の中で具体的にいくつか取り組んでみたい研究テーマがありましたので,私がやりたい研究を一番やれるところ,応援してくれる環境はどこか,という視点で進学先を選びました。
他大学の院の説明会等にも行きましたが,優秀で伝統のあるパワフルな研究室は,その分研究室単位でできるテーマが既に決まっており先生や先輩方の研究を引き継ぐようなところも多い印象を受けました。
一方「つくばの社工」は,新しい構想の学際的な領域であることもあり,自由な発想で研究に取り組むことができる寛容さがありながら,強力な研究環境も整っていると思い進学を決めました。
 

現在の研究室(都市環境行動学研究室)はどのように探しましたか?

修士課程までは認知・社会心理学の研究室に所属していました。心理学の研究は理論的なものや臨床的な分野が多いこともあり,実証的な研究は必ずしも多くないです。私は「研究を通じて社会問題を解決したい」という興味で進学をきめたこともあり,博士課程からは特定の研究対象地(フィールド)をさだめ,そこが抱えている課題の解決に挑みたいと考え,都市計画分野の先生の研究室への移籍を決めました。
現在担当教員をしていただいている雨宮先生のことは,論文を読んで知ったのがきっかけだったと思います。まずメールをして自分の研究関心について話しを聞いていただき,その後先生のゼミにも何度か参加させていただきました。
 

讃井さんの現在の研究テーマについて教えていただけますか?

修士・博士課程では,心理学の知識を使って「“助け合い”を促進する情報発信方法」を考える研究をしています。
「行動経済学」や「ナッジ」という言葉を聞いたことがある方が多いかもしれませんが,これらのキーワードを扱う行動科学は,ざっくりいうと,人間の認知や感情的な心理バイアス(傾向)をうまく利用して、行動を説明したり、さらに望ましい行動を促進したりする分野です。こうした心理特性・行動特性をふまえた情報発信は,法律や制度政策の施行といった強制的な規制に頼らずに行動変容を促す可能性を秘めています。
私は特に,「犯罪被害に遭わないような助け合い(防犯活動への参加や,家族や地域での声の掛け合いなど)」を,自然と,自主的に行ってもらうためには日常的にどのような情報を発信したらよいのかについて考えています。

讃井さん研究画像

 

人の行動変容を促すための「情報発信」の仕方に着目したきっかけは何だったのでしょうか?

大学時代に公共政策について学び,当時は貧困問題や、更生支援(罪を犯した人たちの立ち直りに関する支援)の問題解決について考えていました。その際、実際に貧困の子供、ホームレス、罪を犯したことのある人たちなどに会いに行き,話しを聞く中で,公共政策の援助がうまく届かない例を沢山目撃しました。政策でできることとできないことの両方があることを実感したことで,制度政策に頼らない,仲間同士や,似たような思いを持つ人の助け合いの力に気づきました。
ただ,そうした助け合いの輪は,ほっておいて広がるものではありませんし,必ずしも困っている人皆に援助が届くとも限りません。公的機関は,援助が必要なところを把握し,必要に応じて“助け合い”の気持ちや助け合い行動を促進することが求められると思いますので,公的機関の介入策としての「情報発信」に注目しました。
 

研究で忙しい日々をお過ごしかと思いますが、大学の外で何か打ち込んでいる活動はありますか?

研究を通じて出会う方も多く,自然といろいろなところに行き,人と語り合うことが多いです。研究で高齢者コミュニティの問題や,更生保護,貧困問題等をテーマにしていたことがあるので,それがきっかけとなり,高齢者サロンの活動参加や高齢者施設への慰問,貧困世帯の子供や非行少年の学習支援,刑務所ボランティア,日系外国人の方の就労支援等を長く続けています。社会が抱えている問題を生で感じ,直接意見交換をして意識を深めることが研究のモチベーションになっています。
 

今後の進路について、現時点で目標としていることがあれば、お聞かせください。

人の心に沿った社会システムづくりに貢献できる研究者になりたいと思っています。
大学の入学直前に東日本大震災が起こり,制度・政策といった目に見えない社会システムが,多くの人の幸せに貢献することを強く実感しました。一方,市民のための政策のはずが,立案の現場に市民の実の声が届き難い現状があることもだんだんわかってきました。市民の声が政策の「根拠」の一つとして議論されるようになるためには市民の声を客観的なデータとして示すことが必要です。心理学はそうした要求にこたえられる部分があると考えています。
世の中には,困っていても助けを求めることができない,誰にも届くことのない「声にならない声」がたくさんあります。そうした声が社会制度を設計する場に届くように,人間の心理や行動の記述に関する専門性を極め,制度・政策立案場面における心理学応用の土台を築くことが目標です。
 

最後になりますが、今、シス情の受験を考えている皆さんに、何か伝えたいことがあればどうぞ!

筑波研究学園都市で学ぶことの魅力は,計り知れないと思います。
最先端が集まるつくばで,わくわくする未来の研究を一緒にしませんか。
 

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