ライフイノベーション
研究群紹介

シス情在学生/OB・OGインタビュー企画第2弾 Vol.5 溝口 明祐さん(ライフイノベーション(生物情報)学位プログラム)
システム情報工学研究群(通称:シス情)では、在学生や社会で活躍するOB・OGへのインタビュー企画を行っています。
第2弾の今回は、2020年11月18日(水)開催予定の博士後期課程進学説明会 とタイアップし、博士後期課程の現役学生・OBに進学の経緯やご自身の研究などについてお話を伺います。
第5回目は、生命科学×情報科学のアプローチによりヒトの病気の診断・治療への貢献を目指す、社会人ドクターの溝口明祐さん(ライフイノベーション(生物情報)学位プログラム)にメッセージをいただきました。
溝口さんは社会人ドクターとのことですが、博士後期課程への進学を決めた経緯について、教えていただけますか?
元々私の専攻は化学や生物なのですが、プログラミングに興味があり、自動化ツールの作成、スクレイピング、株式投資関係の機械学習を行っていて、どこかの修士課程で機械学習、データ分析の勉強、研究がしたいと考えていました。そんな中で、勤めている会社から博士課程進学の承認を得ることが出来たため、進学を決めました。
後期課程への進学を視野に入れた時期はいつでしたか?また、進学に向けてどのような準備をされたか、教えてください。
私は2020年4月入学なのですが、進学をうっすら考え始めたのが、2019年4月くらい、会社から受験の承認がおりたのが、2019年9月上旬でした。院試出願(12月上旬)までは、現在所属する研究室を含めて幾つかの研究室への訪問、研究室決定、担当教員との研究テーマの相談や院試に必要な英語の外部テストの受験を行いました。院試の出願に間に合わせるためにシンガポールにTOEICを受けに行ったりもしました。出願後から院試までの間は院試の口頭発表(英語)の準備をしていました。英語にあまり自信が無かったので、会社で発表練習もして頂いたのも含めて、40~50回くらいは通しで練習したと思います。
溝口さんの現在の研究テーマについて教えていただけますか?
ヒトの100種類以上の代謝物のデータ(メタボローム)を機械学習の手法を用いて解析することで、病気を予測したり、新たなバイオマーカー(病気の指標となる化合物)を見つけるメタボロミクスの分野の研究を行っています。1種類の代謝物だけでは予測出来なかった病気が、複数種類の代謝物を組み合わせることによって予測できるようになる可能性があり、情報系の研究室ではありますが、診断、治療に直結するような研究が出来るところに魅力を感じています。

生命システムに生命科学・情報科学の両面からアプローチする「バイオインフォマティクス」の分野に関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
私は小さい頃、大病を患っていたのもあり、薬学部に入り、就職後はライフサイエンス関係の仕事に携わってきました。一方で高校の頃までは数学の問題を何時間も(場合によっては何日も)考えるのが好きで、社会人になってからはプログラミングコンテストに出たりしていて、プログラミングが好きでした。そのような背景もあり、プログラミングを用いて、ライフサイエンスの研究に関わりたいと思っていたところ、バイオインフォマティクスという分野を知り、自分にぴったりなのではないかと思い、興味を持ち始めました。
次に筑波大での学生生活についてお伺いします。普段、一週間をどのように過ごされていますか?
基本的に平日は週3日出社で、週2日研究室に通学しています。博士後期課程なので授業は学期で1コマくらいです。土日は研究したり、授業を聞いたり、友人と会ったり、AtCoder(プログラミングコンテスト)やKaggle(データ分析のコンテスト)に出てみたりしています。
現在、奨学金など、何らかの経済的な支援を利用されていますか?
会社からの給与があるため、特に利用していません。
学位取得後の業務やキャリアについて、現時点で目標としていることがあればお聞かせください。
派遣元の会社で、新規事業の研究、事業化に携わる予定です。元々薬学部出身なのもあり、博士後期課程で学んだことを生かして、診断、創薬などのヒトの健康に貢献できるような仕事をしたいと考えています。
最後に、博士後期課程への進学を考えている、もしくは今迷っている方々にメッセージをお願いします。
正直、会社と学生の両立はなかなか大変なので、研究を続けたい気持ちがあるなら進学をお勧めします。ただ私は修士卒で会社に入り、5年間働いたことによって、自分がやりたいことが明確になりましたし、本研究群でも社会人ドクターは積極的に受け入れられているので、一度企業を経験してから進学することも一つの選択肢だと思います。