ライフイノベーション
研究群紹介

シス情在学生インタビュー企画 Vol.5: 一久 和弘さん(ライフイノベーション(生物情報)学位プログラム)
システム情報工学研究群(通称:シス情)では、在学生に大学院での研究のこと、授業のこと、そして筑波大での生活についてリアルな声を聞くインタビュー企画を行っています。
第5回目となる今回は、社会人学生としてライフイノベーション(生物情報)学位プログラム博士後期課程に在籍し、がんの新しい治療標的を見つける技術である”1細胞分析”の研究に取り組む一久さんにお話を伺いました。
まずは、ライフイノベーション(生物情報)学位プログラム、そして現在の研究室(理化学研究所 生命機能科学研究センター)を選んだ理由を教えてください。
私がこのライフイノベーション学位プログラム、研究室を選んだのには2つの理由があります。
1つ目は個人的な理由ですが、指導教員の二階堂先生が研究されているシングルセル解析に興味があったことです。学会などを通じて先生の研究情報をチェックしており、個人的にも会社としても必要な技術と感じ、専攻、研究室を選択させていただきました。
2つ目の理由は私の所属している会社がつくばライフサイエンス推進協議会に参加させていただいており、ライフイノベーション学位プログラムについてよく理解いただいていたため、このプログラムへの参加を後押しして頂けたことが理由となります。
受験前、興味のある研究室にコンタクトを取るまで、どのようなプロセスを経たか教えてください。
私の場合興味のある研究室が決まっていたのですが、アポイントを取る前にライフイノベーション学位プログラムを運営されている先生、事務局の皆様にもいろいろとお話を伺わせていただきました。社会人ドクターであること、学位プログラムに関する細かい疑問を前もって伺えたためこのプロセスはすごくよかったと感じています。
一久さんの現在の研究テーマについて教えていただけますか?
私はがんの新しい治療標的を1細胞分析という技術で見つける研究に従事しております。
1細胞分析は文字通りこれまで見ることができなかった1細胞単位での細胞の情報を見ることができる技術で、これまで見つけることのできなかった治療標的や、がん悪性化のメカニズム解明につながる可能性があります。
1細胞分析が行えるようになった背景には分析技術と情報科学の横断的な進歩が大きく貢献しており、根底にある技術をしっかりと理解することでこれまでに見ることのできなかった生物学、医学の新たな側面を見ることができるのではないかと期待しております。

がんの1細胞分析の研究に着目したきっかけは何だったのでしょうか?
元々分野横断的な研究に興味があり、私自身も学生時代、生化学系の実験と化学系の実験の両方を行っておりました。そのため研究の情報については幅広くアンテナを張るようにしており、業務で参加していた学会をきっかけに1細胞分析の研究に興味を持ちました。
次に、授業について教えていただきたいのですが、これまで履修した授業の中で特に面白いと感じたものはありますか?
実は新型コロナウイルスの影響でまだ講義には参加できていないのですが、もともとの専門とは異なる分野の講義なのでバイオインフォマティクスに関する講義は楽しみにしています。
また秋に延期になってしまったライフイノベーションセミナーについても様々な先生のお話を伺えるため楽しみにしております。
一久さんは社会人ドクターでいらっしゃいますが、研究、仕事、私生活をどのように両立されていますか?
仕事と学生、子育ての3大タスクに臨んでおり、日々奮闘しております。それぞれ上司、先生、家族の助けを受けながら進めさせていただいております。
また研究室が遠方であるため新型コロナの影響でなかなか訪問ができないという課題があったのですが、研究室ですでにSlack、Google drive、Zoomといった遠隔でタスクを進められる環境が整えられていたため、コミュニケーションにも大きな支障はなく研究を進められています。
大学の講義についても迅速に遠隔対応がなされ、TeamsやZoomが取り入れられた点が非常に助かりました。
学位取得後の業務やキャリアについて、現時点でお考えのことがあればお聞かせください。
まずは会社の研究に活用していくことを考えています。バイオインフォマティクスという分野に明るい人間が少ないため、技術的な面でも教育的な面でも貢献していけるのではないかと考えております。
最後になりますが、今、シス情やライフイノベーション学位プログラムの受験を考えている皆さん(特に社会人の方)に、何かお伝えしたいことがあればどうぞ!
正直異分野への挑戦はとても大変なことが多いですが、私のようなもともと情報系の専門ではない人間でも受け入れて頂き、ご指導いただける素晴らしい環境が整っていると感じております。
少しでも興味があればまずは先生や運営の皆様にお話を伺ってみる、一歩前に踏み出してみることが重要ではないかと思います。
関連リンク
- ライフイノベーション(生物情報)学位プログラム:http://tlsi.tsukuba.ac.jp/
- 理化学研究所 生命機能科学研究センター:https://bit.riken.jp/ja/